2024/11/15 11:54


子どもが発達障害かもしれないと感じたら、医師や専門機関の診断を受けましょう。発達障害の診断をどこで受けるか、費用はいくらかかるのか、どんな検査なのか、また診断を受けることでどのようなサポートが得られるか、私の経験も踏まえて解説します。


目次

・子どもが発達障害かもしれないと感じたら…まずは医師や保健師に相談しよう

・発達障害の検査はどこで受ける?…発達支援センターでアセスメントと発達検査が受けられる

・発達障害の診断では、どんな検査が行われる?

・発達障害の診断には、いくら費用がかかる?

・発達障害と診断されたら、どんな支援が受けられる?

・親として不安なのは当たり前。「子どもファースト」を忘れず、早めに診断を受けよう



子どもが発達障害かもしれないと感じたら…まずは医師や保健師に相談しよう

子育てをしていて、子どもの発達に関して気がかりなことが出てきた場合、16ヶ月健診や3歳児健診などの機会に、医師や保健師に相談することができます。

医師や保健師は、多くの子どもたちをみてきた専門家であり、子どもの発達にまつわる気がかりなことに対して、親の不安を解消し、適切なアドバイスをくれる存在です。

 

乳幼児検診の際には、「もう少し様子をみましょう」と言われることも、「もう少し詳しく様子をみさせて下さい」と言われることもあると思います。

 

適切なタイミングで、適切なアドバイスやサポートを得られるよう、子どもの発達上で気がかりなことは、医師や保健師に積極的に相談しましょう。



発達障害の検査はどこで受ける?…発達支援センターでアセスメントと発達検査が受けられる

保健所の乳幼児検診で医師や保健師に相談してアドバイスを得ても、なお気がかりなことがあり、やはりもっと詳しく診てほしいと感じる場合は、専門機関である自治体の発達支援センターなどを紹介してもらうようにましょう。

 

昨今、発達障害のあるお子さんが増えているというデータがあり(※)、保健所からの紹介であっても、発達支援センターでの専門家面談まで数ヶ月待ちの待機期間があると言われています。

 

私の次男の場合、発語の遅さから保健所ではなく発達支援センターを紹介されましたが、初回の面談日まで3ヶ月待ちでした。

※特別支援教育の現状|文部科学省



発達障害の診断では、どんな検査が行われる?


次に、私の次男が発達支援センターで受けた面談についてご紹介しましょう。実際には次のような手順で進みました。

 

数ヶ月の待機期間を経て、いよいよ発達支援センターの面談を受けに行きます。センターでは、事前に渡されていた子どもの誕生から現在までの詳しい成長の様子について記入した相談シートを提出。

 

この相談シートは、母子健康手帳から転記するような基本的な内容から、普段の子どもの様子まで多岐に渡るものでした。

 

子どもが苦手なことは何か

パニックになることはあるか

こだわりはあるか

 

…など、子どもの発達の状態についてとても詳しく記入していきます。また、親が感じている子育てに必要なサポートや、子どものどういう部分に育てづらさを感じているかなども詳しく書きます。

 

この相談シートとともに、面談員から詳しく話を聞かれました。親が面談員と話している間、子どもはもう一人の面談員と遊びながら同じ部屋の中で過ごします。この初回の面談日は、主に親からの聞き取りで終了します。

 

そして翌週には、子どもの発達検査を行いました。私の次男が受けた発達検査は、「新K式発達検査」と呼ばれるもので、一般的にDQDevelopmental Quotient)と呼ばれる発達指数を調べるテストです。

 

発達指数とは、

 

・姿勢・運動
・認知・適応
・言語・社会

 

…の3つの領域で測定される指標のこと。

 

この指標は、子どもの発達が何歳相当かを示す「発達年齢」を本人の年齢(生活年齢)で割り、100倍したものです。発達年齢が実際の年齢と同じならDQ100となり、さらに85115が正常発達の範囲だとされています。

 

発達検査を受診した翌週に、その結果を聞きに発達支援センターへ行きます。

 

発達支援センターは医療機関ではないため、「診断」は出来ないとのことですが、面談と発達検査をしてくれた面談員からは所感を聞くことが出来ます。

 

私の次男の場合は、自閉症の傾向がある、知的な遅れがあるという指摘を受けました。さらに確定診断を得たい場合は、病院の小児神経科などの専門医から診断を受ける必要があります。

 


発達障害の診断には、いくら費用がかかる?

発達支援センターでの発達検査は自治体による公的な機関での検査になるため、費用はかかりません。病院で医師の診断を口頭で受ける場合の費用も、通常の受診と同じ窓口負担割合と考えてよいと思います。正式な「診断書」を発行してもらいたい場合は診断書代が必要になりますが、口頭で医師から発達特性について告げられるのであれば、特別な費用は発生しません。



発達障害と診断されたら、どんな支援が受けられる?


発達支援センターで発達検査を受け、なんらかの発達特性を指摘された場合、その次の段階として病院の専門医から診察を受け、確定診断を受けたほうがいいかどうか悩まれる親御さんも多いと思います。

 

もちろん確定診断が必要と感じるのであれば、医師の診察を受ければいいでしょう。しかし、「発達障害」との診断 をはっきりと医師から受けることに抵抗を感じる親御さんも多いのではないでしょうか。

 

実は医師の正式な診断を受けていなくても、発達支援センターや民間の児童発達支援事業所では、子どもの成長に必要な「療育」を受けることが出来ます。ただし、発達支援センターや民間の児童発達支援授業所で療育を受ける場合、受給者証と呼ばれる証明書が必要です。これは、障がい児が福祉サービスを受けるために必要な証明書となります。

 

各自治体では、児童福祉法に基づき、心身の発達になんらかの心配や障がいのあるお子さんの発達を支援する療育事業を行っています。

 

発達検査で明らかな所見がみられる場合はもちろん、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる場合でも、その子に必要な療育サポートを各自治体で受けることが出来ます。

 


親として不安なのは当たり前。「子どもファースト」を忘れず、早めに診断を受けよう

自分の子どもが発達障害だという診断を受けることに抵抗を感じる親御さんも多いと思います。子どもの発達に気がかりなことがある場合、親がどう動くのかがカギになります。

 

この子をこの先、どう育てるのか。子どもにとってよりよい成長のサポート方法は何なのか。さまざまな場面で不安を覚えるかもしれません。まずは我が子の特性を理解し、「子どもファースト」を忘れずに、子どもとの関わり方を工夫していきましょう。

 

そして、家庭のみならず、幼稚園や保育園、地域の児童館、かかりつけ医、同じ悩みを抱える親御さんなど、多くのサポートしてくれる人とともに子どもの成長を見守っていきましょう。

 

(文/隈本納実)

 

 

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隈本納実

行政書士/ファイナンシャルプランナー(AFP/不動産管理会社代表

大学生、小学生、保育園児の三児の母。

大学卒業後、国内大手ホテルに勤務、大学院などを経て、家業の不動産管理会社の代表に就く。

次男の発達がゆっくりで、おむつ外れや弄便に悩んだ経験から、発達がゆっくりな子向けのオリジナルロンパースを製作販売する事業をスタートさせた。行政書士/AFPとしては、障害のある子どもやその保護者向けの障害福祉サポート業務にも取り組んでいる。